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2008年11月10日 (月)

賭けに勝った“勝負師” 日本一に導いた西武・渡辺監督

若き獅子たちの手によって、背番号99が9度宙に舞った。西武が宿敵巨人を破り、4年ぶり13度目の日本一。「こんな、就任1年目のダメな監督を盛り上げてくれて、選手たちには感謝しています」。渡辺久信監督の声が震えていた。

 12球団唯一の投手出身監督。自身も10度経験した大舞台で、主力投手の心意気と、短期決戦の特徴を知り尽くす采配(さいはい)を見せた。「短期決戦には、短期決戦の戦い方がある。調子のいい選手を使わないと悔いが残る」。追いつめられた第6戦で今シリーズの絶対的な切り札、岸を投入。次戦を考えず最後まで投げさせた。そして第7戦には西口、石井一、涌井をつぎ込む総力戦を展開。「(現役時代に)僕もやってきたし、こういう使い方は自分の考えた通りではあったね」。事前の思惑通り、逆転勝ちをもぎ取った。

 巨人の李承ヨプひとりの年俸(推定6億5000万円)が、西武のスタメン野手の年俸合計とほぼ同じ。個々の力で勝ち上がってきた巨人には、ベンチ全員で立ち向かうしかない。第5戦で王手をかけられると「今こそ一つになるときだ。追い込まれた獅子の強さを見せろ」。若い選手の反発心をもう一度呼び起こし、指揮官自身は“最後の賭け”に集中した。

 現役時代から「天性のギャンブラー」といわれた男。独身時、西武は5年間の寮生活が義務づけられていたが、4年目のオフに無断でマンションを購入。背水の陣で退寮を直訴した。「もう契約しちゃいました」。6000万円の大きな賭け。これには当時の根本管理部長(故人)も折れた。「おまえ、よう考えたな…」。岸を先に使い切って流れを引き寄せたシリーズの勝負手は、そのときと同じ豪胆さがなせる業だった。

 ただ、歓喜の瞬間に、リーグ優勝で見せた涙はなかった。自分を胴上げしてくれた若い選手をさらに成長させ、黄金時代を作る使命が残されているからだ。「アジアシリーズ、勝つぞ!」。指揮官の発声で、ナインは一斉に人さし指を空に突き上げる“ナンバーワン”ポーズ。現役最年少、43歳の渡辺監督の前には長く広い道が開けている。(坂井朝彦)

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