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2008年10月 1日 (水)

雑誌の売れない時代に“独り勝ち”「分冊百科」の強さの秘密

出版不況が叫ばれる昨今である。出版科学研究所の「2008出版指標年報」によると、2007年の出版物の推定販売金額は前年比3.1%減の2兆853億円で、3年連続で前年を下回っている。

 だが同年報によると、週刊誌に限っていえば前年の販売金額を上回っていることに気づく。もっとも、そこから「週刊誌復活」を読み取るのは早計だ。この数字には、週刊誌扱いで流通している「分冊百科」の好調が大きく反映されているのだ。

 分冊百科とは、ひとつのテーマに沿って毎週、毎月といった単位でサブテーマごとに刊行される出版物のこと。その歴史は古く、近年に限っても2001年に小学館の「週刊 古寺をゆく」が創刊号で50万部超えの大ヒットを記録した。現在では、テレビのスポットCMでもおなじみの、デアゴスティーニ・ジャパン社を筆頭に、各社がしのぎを削る一大市場を形成している。

 分冊百科の魅力は、まず「そろえる喜び」にある。専用のバインダーに毎週ファイリングしていく作業は確かに楽しそうだ。シリーズ完結時の達成感もひとしおだろう。案の定、さほど興味のないジャンルの百科まで収集するコレクターまでいる。

 豊富なビジュアルと簡潔なテキストで「このジャンルの基礎知識はこのシリーズをそろえればOK」と思える点も人気の理由だ。前述の「古寺」や、「クラシック音楽」「古典美術」など、「興味はあるがどこから手をつけていいのかわからない」という、潜在的な読者を引き寄せるテーマ設定も巧い。団塊世代の退職ラッシュや国民総マニア時代の到来も、ブームを後押ししているのだろう。

 さらに比較的安価で、DVDなどのおまけつき。ほとんどの場合、創刊号は特別価格(100円という場合も)とくれば、売れるのは当たり前という気もする。不況下にあってこの「お得感」は大きい。

 もちろん分冊百科なら何でも売れるというわけではない。スペイン発のデルプラド社のように日本市場から撤退した例もある。市場を牽引するデアゴスティーニ・ジャパンの強みは、テーマ発掘の着眼点の確かさ、そして宣伝の巧妙さにある。

 雑誌の売れない時代の中で、分冊百科の“独り勝ち”は、まだ当分続くのだろうか。

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